お悩み解決
2021-06-04
物理的なサーバーを自社内で運用するオンプレミス環境であっても、何らかの仮想化技術を導入し、その上で仮想マシンとしてサーバーを運用するのが一般的になっています。サーバーを仮想化することで、ハードウェアのリソースを効率よく利用できたり、運用の手間を削減できたりするというのがその理由です。仮想化技術には、さまざまな実装が存在しますが、その中でも長い歴史と大きなシェアを持っているのが「VMware」です。
オンプレミスからクラウドへの移行が進む現在、「VMware vSphere®で仮想化されたオンプレミスからクラウドへの移行ソリューション」が大きなトレンドとなっています。
現在のサーバー運用を支えている、もっともポピュラーな技術が「仮想化」です。
ハードウェアに直接OSをインストールしてサーバーに仕立て上げる古典的な構築方法では、そのOS(サーバー)にハードウェア全体が占有されてしまいます。一般的にサーバーは、メールサーバーやWebサーバーなど、用途ごとに特化して構築されるため、従来はサーバーの数と同じだけハードウェアを用意するのが当たり前でした。しかし、サーバーの種類によっては大きな負荷がかからないため、高価なハードウェアを占有してもCPUやメモリを使い切れず、持て余してしまいがちでした。
仮想化技術を利用すると、1台のハードウェア上に複数の仮想的なサーバーを作成し、CPUやメモリといったリソースを各仮想サーバーに分割して割り当てることができます。複数のサーバーを1台のハードウェア上に集約できるため、リソースを効率よく使え、結果的にハードウェアにかかるコストを削減することができるのです。こうした仮想化を行うソフトウェアを「仮想化ハイパーバイザー」と呼びます。
仮想化のメリットは、単にハードウェアの台数を削減できるだけではありません。仮想サーバーはソフトウェアとして扱えるため、OS上でファイルをコピーするのと同じ感覚で、サーバーの複製を作ったり、サーバー全体のスナップショットを取ることが可能です。また、サーバーがハードウェアに縛られていないため、万が一、ハードウェアに障害が発生したとしても、別のハードウェア上に仮想サーバーを移設し、起動することも簡単です。サーバーを仮想化することで、こうした運用にかかるコストも削減できるのです。
このような理由から、現在ではサーバーは仮想化して運用するのが当たり前となっています。世の中に仮想化ハイパーバイザーは数多く存在しますが、その中でも大きなシェアを占めているのが、VMwareが提供する「VMware vSphere」です。
VMware vSphereは、仮想サーバーを管理する基本的な機能に加えて、ある物理サーバー上で動作している仮想サーバーを停止せずに別の物理サーバーに移動させる機能(VMware vSphere® vMotion®)や障害時に仮想サーバーを自動的に再起動する機能(VMware vSphere® High Availability)など、運用をより楽にするさまざまな機能が搭載されています。さらには物理サーバーに搭載されているGPUを仮想サーバーから透過的に利用したり、物理サーバーのSSDをキャッシュとして利用し、仮想サーバーのパフォーマンスを向上させることも可能です。また、VMware vSphere 上では、WindowsやLinuxなど数多くのOSを動作させられるため、異なるOSのサーバーで構成されたシステムを1台のハードウェアに集約することも容易です。
ほかにも有名なハイパーバイザーとして、Microsoftの「Hyper-V」などが存在しますが、オンプレミスでは長い歴史を持つVMware vSphereがデファクトスタンダードとして、全世界で広く使われています。
クラウドには、
といった多くのメリットがあるため、これからITシステムを新規構築するのであれば、まず最初にクラウドサービスの利用を検討する「クラウドファースト」が当然になっています。政府においても、政府情報システムの構築・整備に関しては、クラウドサービスの利用を第1候補とするという方針を打ち出しています(クラウド・バイ・デフォルト原則)。
こうした背景により、新規に構築するシステムだけでなく、既存のオンプレミス環境からクラウドへの移行も進みつつあります。
既存のオンプレミス環境をクラウドに移行する際、環境の変化によってシステムに不具合が起きたり、業務フローが変わってしまったりという事態は絶対に避けねばなりません。そのためには、オンプレミスとまったく同じ環境をクラウド上で再現できることが一番です。そのような背景から、オンプレミスのVMware vSphereで構築したシステムをそっくりそのままクラウドへ移行したいというニーズが増えています。
そうしたニーズを受け、現在ではさまざまなクラウドベンダーがベアメタル上でVMwareを利用できるサービスを提供しています。有名なサービスとして「VMware Cloud™ on AWS」「VMware Horizon® Cloud Service™️ on Microsoft Azure」などが存在します。
ニフクラは国内では珍しく、2010年のサービス開始当初から仮想マシンの基盤としてVMware vSphereを採用しているサービスです。
一般的にクラウド上でシステムを構築するには、そのクラウドプラットフォームの流儀に合わせた設計を行わなければなりません。そのため、オンプレミスのサーバーをクラウドに乗せ変えようとした際に、使えない機能が出てきてしまったり、ネットワークの構成を変更しなければならなかったり、そもそもサーバーを作り直す必要があったりなど、さまざまな問題が発生することは珍しくありません。こうした問題を克服するため、クラウドベンダーならびにパートナー企業・SIerのサポートや移行サービスが必要になる場合もあります。
しかしオンプレミスとクラウドの双方でVMware vSphereを採用していれば、既存のサーバーの移行がしやすくなります。前述の通り、オンプレミス環境ではVMware vSphereが大きなシェアを獲得しているため、VMwareのクラウド移行ソリューションを提供しているクラウドベンダーも多く存在します。もちろん、VMware vSphereをベースとしたニフクラでも、移行にともなう様々な課題を解決するためのツールやサービスを提供しています。
オンプレミスの仮想サーバーをそのまま移行するには、「VMインポート」や「ディスク受取サービス」が便利です。「VMインポート」は、VMware vSphereで仮想化したサーバーのVMイメージを、ニフクラ上にインポートできる機能です。「ディスク受け取りサービス」は、手もちの大容量データや仮想サーバーイメージを専用のディスクに格納してニフクラに送付することで、安全かつ高速にVMインポートや指定のストレージ領域に転送できるサービスです。
「プライベートLAN」や「拠点間VPNゲートウェイ」を利用すれば、オンプレミス環境のネットワーク構成をニフクラ上で再現できます。この際のメリットは、クラウドに移行してもサーバーのIPアドレスが変化しないという点です。オンプレミス環境と同じIPアドレスが使用できるため、サーバーやアプリケーションの設定を変更することなく、システムを継続して運用することが可能です。
オンプレミスからクラウドへ環境を移行するには、環境の違いに起因するさまざまな問題を乗り越えなければなりません。しかし、VMware vSphereを利用しているのであれば、そうした問題を最小限に抑えることも可能です。VMware vSphereの機能を利用して、オンプレミスからクラウドへの移行を検討してみてはいかがでしょうか。