お悩み解決
2021-06-08
多種多様なシステムを抱える企業にとって、IT基盤のクラウド移行は簡単な作業ではなく、すべての移行が完了するまでは数年単位の期間と膨大なエンジニアの稼働がかかることもあるでしょう。そうした中でクラウド基盤から安定した品質のネットワーク、セキュリティまで含めてトータルなサポートとサービスを提供しているのがNTTコミュニケーションズ(以下、NTT Com)です。クラウド移行とDX推進に向けたVMware vSphere® ベースのサービス「NTT Communications IaaS powered by VMware®(以下、IPV)」によるメリットを紹介します。
レガシーシステムをモダナイズしながら、デジタルトランスフォーメーション(DX)に向けた取り組みを加速させていくためには、自社の状況に合わせてクラウドを活用していくことが大きなポイントです。
もちろん、安定的に稼働している既存の多種多様なシステムを手間なく効率的にクラウド環境に移行していくことは簡単ではありません。特に大規模なシステムを抱える企業では、システムの数が多いだけでなく、それぞれのシステムで利用するアプリケーションやOS、ミドルウェアのバージョンが異なっているのが普通です。また、セキュリティやガバナンスの面から、ネットワークやセキュリティポリシーも厳格なルールのもとで運用されています。
そうした中でNTT Comでは、クラウド基盤から安定的なネットワーク、セキュリティまで含めてトータルでクラウド移行とDX推進をサポートしています。
同社は2007年からVMware Cloud Director® を利用したクラウドサービスを提供してきた国産クラウドのパイオニアです。2012年からはエンタープライズ向けクラウドサービス「Enterprise Cloud」を提供し、大手企業の多様なニーズに応えてきました。このEnterprise Cloudにおいて、クラウド移行やDX推進を目指す企業向けに新たに提供を開始したのが、VMwareのVMware Cloud Director® を採用したIPVです。クラウド移行における同ソリューションメリットを以下に紹介します。
IPVはVMware による仮想化基盤をベースとするクラウドサービスです。VMware ESXi™ やVMware Cloud Director® をはじめとするVMwareの製品を活⽤し、オンプレミスなどにあるVMware vSphere などVMwareのテクノロジーをベースに構成されるシステム環境のクラウド化を支援します。
IPVの概要
NTT Comではこれまで、Enterprise Cloudのサービスラインアップの1つとして、VMware vSphere 基盤をVMware vCenter® で管理できるクラウドサービス「Enterprise Cloud専用ハイパーバイザー(vSphere)」を提供してきました。これはNTT Comのクラウド環境内に顧客のVMware vSphere 基盤によるプライベートクラウドを構築できる「ホステッドプライベートクラウド」型のサービスです。
今回提供開始したサービスは、物理専有型サーバで提供されるEnterprise Cloud専用ハイパーバイザー(vSphere)のモデルとは違い、物理基盤からハイパーバイザーまでの運用をNTT Comが担い、お客さまはVMwareアプリケーション層の仮想マシン1台から利用できるモデルとなっています。
従来の「Enterprise Cloud専用ハイパーバイザー(vSphere)」のような物理専有型サーバの場合、お客さまのニーズに最適な環境を構築できる反面、お客さま側で一定以上の運用管理が必要であり、クラウド移行時のネットワーク設計やセキュリティ設定を改めて見直す作業も必要となります。
クラウド移行に際して、お客さま側の設計作業、運用にかかる稼働や負担をより軽減することを目的にリリースされたのがIPVです。
その最大の特長は、仮想マシン1台から利用でき、移行ツールや仮想ネットワークの機能も備わっているため、POC(概念実証)や全面的なクラウド化、災害対策(DR)やバックアップ用途など企業の多様なニーズに対応できることです。
オンプレミスとパブリッククラウドをシームレスにつなぎ、ハイブリッドクラウド環境を構築するサービスとしては、海外のパブリッククラウドプロバイダーが提供するAWS(Amazon Web Services)の「VMware Cloud™ on AWS」やMicrosoftの「Azure VMware Solutions」などが知られています。
IPVとこれらのサービスとの大きな違いは、ハイパースケーラーのサービスの場合、導入時から複数台の物理専有型サーバが必要になることです。またトラフィックによって課金が発生する場合があり、移行や運用でのコスト見積もりもが運用担当者にとって負担になる場合があります。
これに対してIPVは、ハイパーバイザーなどの基盤のメンテナンスはNTT Comが担いながら、VMware Cloud Director を用いて、ユーザーが仮想環境を管理できます。また、仮想マシン1台からの利用が可能で、クラウド移行のPOCやスモールスタートが可能です。トラフィック課金も発生せず月額料金も定額のモデルのため、コストの見積もりがシンプルで予算化しやすいというメリットがあります。
Enterprise Cloudは、NTT Comのデータセンター内でFlexible InterConnect(FIC)と呼ばれる閉域網ネットワークでインターコネクト接続されており、他社のサービスと簡単かつ安全に接続できます。お客さまのオンプレミスのVMware vSphere 環境とIPVをFICや閉域網で接続させると、移行ツールを利用してセキュアにクラウド移行を実現させることができます。
また、NTT Comでは、データマネジメント、データインテグレーション、データ分析AI(人工知能)、データセキュリティ、ストレージなどのデータ利活用に必要なサービス・機能を「Smart Data Platform」として提供しています。また、基盤サービスとしても、AI向けのGPUソリューションやSAP向けのクラウド基盤サービス、ベアメタルを含めた専有型クラウドサービスを提供しています。お客さまのあらゆるニーズに対し、クラウドサービスとこれらのサービスを組み合わせて提供することで、クラウド移行だけではなく、その先のDX推進を強力に支援していきます。
IPVは2020年3月からテスト稼働が開始し、2020年12月に正式リリースされました。当初は、NTT Comの既存の大手顧客が中心でしたが、サービスのアップデートが進む中で、幅広い企業に採用されています。
全面的なクラウド移行を行わない場合でも、事業の展開を見ながら、必要に応じて柔軟に利用できます。例えば、オンプレミスのシステムのリソースが不足したときにクラウドに拡張したり、ハードウェアのEOL(End Of Life)に伴うリプレースや移行先として活用することができます。移行においては仮想マシンの無停止での移行や少ないダウンタイムでの移行が可能です。DRやバックアップなどの用途でも活用できます。
今後の注目ポイントとしては、2021年夏に予定している大幅なアップグレードがあります。このアップグレードは新しいアーキテクチャを採用し、可用性と信頼性がさらに向上します。
また、ネットワーク機能が強化され、VMware NSX-T Data Center™ (NSX-T)採用によるネットワーク機能の拡張や、IPV専用ゲートウェイが提供されます。専用ゲートウェイによって、安全なインターネット接続や、FICによる閉域網接続の拡張、コロケーション接続も年度内の提供で予定しています。
こうした拡張が実施されれば、AWSやMicrosoft Azure、Google Cloud Platform(GCP)とのマルチクラウド接続も強化されます。例えば、クラウドへの移行後に、IPVのハイブリッド構成で基幹システムを安定稼働させた上で、AIを使ったデータ分析処理などをAWSやMicrosoft Azure、GCPのAI/MLサービスなどと連携するといった利用方法を容易に実現できるようになります。
NTT Comでは、IPVを継続的に改善しながら、さまざまな企業のクラウド移行やDX推進を支援していきます。
NTTコミュニケーションズ株式会社
NTTコミュニケーションズ ドコモビジネスコンタクトセンター
tel: 0120-003300 ※受付時間 9:00~17:00(土・日・祝日・年末年始を除く)