オンプレミスで運用してきた大規模な仮想環境をクラウドに移行したいと検討しているが、仮想マシンの構成変更や操作性の違いにより実現できずにいる企業が少なくありません。そうした中でソフトバンクでは、専有環境によりパフォーマンスとセキュリティを確保しつつ、同時にクラウドならではの柔軟性と運用負荷軽減のメリットを得られる「ホワイトクラウド ASPIRE プライベートクラウド」の提供を開始しました。
コロナ禍によってIT部門のスタッフの出社が困難になる中、オンプレミスで運用しているシステムのメンテナンスに手が回らなくなり、クラウドに移行したいと検討している企業は少なくありません。
しかし、なかなか実行に踏み切れないのが現実です。移行先の候補としてIaaSのサービスを検討するものの、仮にオンプレミスと同じVMware vSphere® ベースのインスタンスをサポートしており、既存の仮想マシンをそのまま稼働させることができたとしても、運用管理のオペレーションは各クラウドベンダーが提供する管理ツールやコンソールに依存することになってしまいます。要するにIT部門の運用担当者は、これまで培ってきた運用ノウハウやナレッジをすべて捨てて、新たなスキルを習得しなければなりません。
加えてパフォーマンスに対する懸念もあります。ほとんどのクラウド事業者が提供しているIaaSはマルチテナントで運用されているため、同じホストに同居している他社のインスタンスの処理負荷が急増した場合、その影響を受けてパフォーマンスが低下する可能性があります。
同じ意味で、自社と他社のインスタンスがハードウェアレベルで分離されているわけではないため、どうしてもセキュリティの不安も払拭しきれません。
そこでもう1つの移行先の候補となるのが、一部のクラウドベンダーやデータセンター事業者から提供されているベアメタルサーバー(専有サーバー)です。ただしこのサービスでは、ハイパーバイザーのインストールから自分たちの手で行わなければならず、大規模なオンプレミスの仮想環境を短期間でクラウド化するのは困難です。なによりせっかくのクラウドを利用するメリットがほとんど得られません。
これまで、クラウドサービスを利用する上では他社と機器を共有することを覚悟しなければなりませんでした。裏を返せば、クラウドサービスでなおかつすべての機器を専有利用できれば、クラウドとオンプレミスの両方のメリットを得ることが可能となります。
このような都合の良い話はどこにもないのがこれまでの実情でしたが、まさにこの常識を覆す形で登場したのが、ソフトバンクの新サービス「ホワイトクラウド ASPIRE プライベートクラウド」です。
従来からソフトバンクが提供してきた「ホワイトクラウドASPIRE」は、SLA99.999%を誇る国産クラウドサービスです。VMware の仮想化基盤をベースとし、通信キャリアならではの信頼性の高いネットワークと国内データセンターを組み合わせることで、顧客のリクエストに柔軟に応える基盤と日本語サポートの提供を強みとしてきました。
「ホワイトクラウド ASPIRE」ではSLA99.999%の高信頼のクラウドサービスを提供する
ホワイトクラウド ASPIRE プライベートクラウドは、これらの強みを持つソフトバンクが提供するクラウド上に自社のプライベートクラウド環境を構築できる新サービスです。
具体的にはサーバーはもとよりスイッチからストレージまで、すべてが専用設備で構成されるため、クラウドでありながらオンプレミスと同レベルのセキュリティ、パフォーマンス、操作性を実現することができます。
特に注目すべきがストレージです。サーバーの内蔵ディスクをソフトウェアで仮想的に束ねるSDS(Software-Defined Storage)ではなく、高い信頼性と高パフォーマンスを有するオールフラッシュストレージが丸ごと提供され専有できるため、大規模な仮想環境の運用にも対応することができます。
このようにすべての機器を専有設備とすることで、他社のワークロードによる影響を受けることなく高いパフォーマンスを確保することができます。同時にソフトバンクのVPNサービスと組み合わせることで外部接続時のセキュリティも向上することができます。
その上でVMware vSphere 環境までソフトバンク側で用意されるため、ユーザーは各仮想マシンの運用管理に専念することができます。
ホワイトクラウド ASPIRE プライベートクラウドを利用することで、パブリッククラウドとオンプレミスの“いいとこ取り”が可能となります。
前述のように、ホワイトクラウド ASPIRE プライベートクラウドはハイパーバイザーとしてVMware vSphere を提供しているため、オンプレミスとほぼ同じ構成の仮想環境を構築することができます。加えてVMware vSphere のバージョンアップもソフトバンク側で行われるため、ユーザーは常にVMware の最新機能を利用できます。
オンプレミス上の仮想環境とほぼ同等の環境を専有されたクラウド環境上に構築
また、仮想環境の構成変更やメンテナンスなどの操作を従来から慣れ親しんだVMware vCenter® で行えるほか、VMware vRealize® Operations™ を用いてVMware ESXi™ やストレージ、仮想マシンのCPU、メモリなどの利用状況を確認することも可能です。運用担当者は、これまで培ってきた運用ノウハウやスキルをそのまま生かすことができます。
さらにオンプレミスの仮想マシンをホワイトクラウド ASPIRE プライベートクラウドに移行するにあたっては、オプションの移行支援ツールとしてVMware HCX を利用することが可能です。ハイブリッド・インターコネクトのもとで高速かつセキュアなライブマイグレーションを行いながら、大規模システムも徐々に移行を進めることができます。
もちろん既存の仮想環境をそのままクラウドに移行し、従来どおりの運用を継続できることだけがメリットではありません。
ホワイトクラウド ASPIRE プライベートクラウドは、例えばVMware vSphere with TanzuといったVMwareの最新製品もサポートしています。
VMware vSphere with Tanzu とは、VMware vSphere 環境でKubernetesコンテナを容易に扱えるようにする製品で、オンプレミスからマルチクラウド環境で稼働するKubernetesコンテナを単一かつ統合された制御プレーンのもとで管理するとともに、多種多様なオープンソースや業務の個別要件に合わせたアプリケーション開発を支援します。
すなわちホワイトクラウド ASPIRE プライベートクラウドに移行したあと、その基盤上でクラウドネイティブなアプリケーションの開発や既存のアプリケーションのモダナイズを進めることができるのです。
ここまで触れてきたように、機器専有型IaaSであるホワイトクラウド ASPIRE プライベートクラウドは、ハイパーバイザーを含めたインフラ部分がソフトバンクから提供されるため、オンプレミスより早い導入が可能で、初期費用を抑えつつ月額の料金で利用することができます。
さらにインフラの運用管理をソフトバンクに任せられるクラウドサービスならではのメリットを享受しつつ、独自のセキュリティ要件を満たす設計も可能です。
長年のクラウドサービスおよびデータセンター運用を通じてノウハウを培ってきたソフトバンクによるシステム運用サポートを受けることができるホワイトクラウド ASPIRE プライベートクラウドは、大規模なオンプレミスシステムのクラウド移行を検討している企業にとって有力な選択肢となります。
ソフトバンク株式会社