お悩み解決
2022-12-06
昨今、企業にはデジタル化とサステナビリティの両立が求められています。前者は主に「2025年の崖」を乗り越えるためのレガシーシステムからの脱却を、後者は政府主導のもと進めている「カーボンニュートラル」への対応を指します。デジタル化とサステナビリティを推進する要となるのが「ICT基盤のグリーン化」であり、それを支えるカーボンニュートラルなクラウドサービスをご紹介します。
現在、日本政府は温室効果ガスの排出量を全体としてゼロにする「カーボンニュートラル」を2050年までに実現すべく、「2050年カーボンニュートラル」という施策を進めています。同施策の核となるのは「グリーン成長戦略」。これはグリーンエネルギーを積極的に採用することで、環境保護とともに産業構造を改革する試みです。
政府は、産業構造の改革やイノベーションの創出を後押しし、社会経済を成長させることをグリーン成長戦略の狙いとしています。特に、今後成長が期待される14の産業に対しては高い目標を掲げ、民間企業にもカーボンニュートラル実現への協力を求めています。
その他に、企業は「2025年の崖」への対応も求められます。これは日本企業がデジタルトランスフォーメーション(DX)に取り組まなければ、既存ITシステムの老朽化やDX人材の不足によって、2025年以降の5年間で最大12兆円の経済損失が生じるというものです。2025年の崖を乗り越えるためには、レガシーシステムの刷新などモダナイゼーションに取り組まなければなりません。
つまり、昨今の企業にとっては、サステナビリティとデジタル化の両立が喫緊の課題です。
こうした背景を受け、サステナビリティとデジタル化への取り組みが企業価値を測る重要な指標であるという認識も広がっています。これまで、企業価値は財務情報を中心に評価されてきました。しかし、昨今では非財務情報の「グリーントランスフォーメーション(GX※1)」や「ESG経営※2」の取り組みを企業価値の評価に反映するようになっています。
※1…カーボンニュートラル実現のために社会システムを変革する取り組み
※2…企業の長期的成長のために、環境(Environment)・社会(Society)・ガバナンス(Governance)を重視した経営を行うこと
今後は、GX・ESG経営への対応がますます重要視され、投資家をはじめとする各ステークホルダーへ自社の取り組みを積極的に開示することが求められるでしょう。
デジタル化とサステナビリティへの取り組みを両立させるカギは、ICT基盤のグリーン化(省エネルギー化)です。総務省によると、ICT基盤の電力消費量は増大の一途をたどっており(下図)、2050年には2018年時点と比較して550倍以上に達すると予想されています。企業がカーボンニュートラルを実現するには、ICT基盤のグリーン化は必須と言っても過言ではありません。
ICT基盤関連の消費電力量の予測
ここからはICT基盤をグリーン化した事例として、NTTコミュニケーションズの取り組みを紹介します。
NTTグループは、政府の目標よりも10年早い2040年までにカ―ボンニュートラルを達成することを目標に掲げています。その中でもNTTコミュニケーションズは、省エネ化とグリーンエネルギーの活用によってCO2排出量を削減し、2030年までにカーボンニュートラルの達成を目指しています。
NTT コミュニケーションズはお客さまの脱炭素化を支援すべく、「CO2排出量の可視化」、「エネルギーの最適化」、「消費者の行動変容促進プログラム」、「サーキュラーエコノミー」といったさまざまなグリーン関連のソリューションを提供しています。ICT基盤のグリーン化については「エネルギーの最適化」でサポートしており、SDPF クラウド/サーバーもその1つです。
再生可能エネルギーを利用するデータセンターで稼働するクラウドサービスへの移行は、デジタル化とサステナビリティを両立するための1つの解だと言えるでしょう。
しかし、クラウド移行に際して多くの企業が問題に直面していることも事実です。例えば「既存環境の構成変更が困難」、「移行時のネットワークやデータ転送量コストの不安」、「移行作業時のセキュリティリスク」などがあります。
こうした課題を解消しながらお客さまのクラウド移行を支援するソリューションが、SDPF クラウド/サーバーのメニューとして提供している「IaaS Powered by VMware(以下、IPV)」です。IPVはVMware vSphere®による仮想化基盤をベースとしており、SDPFクラウド/サーバーのIaaSサービスとして位置づけられます。
IPVには、大きく分けて4つのメリットがあります。
IPVではシームレスなクラウド移行を実現可能です。マイグレーションツールとして、「VMware Cloud Director Availability™(以下、VCDA)」を活用すれば、オンプレミスや他社のクラウドサービスからの移行も容易に行えます。
オンプレミスとクラウドをつなぐネットワーク環境の構築も、Webブラウザ上の簡単な操作で完了。「SDPF閉域網」など、必要に応じてセキュアなネットワーク環境を選択することも可能です。
また、オンプレミスでは実施できないテストを、IPVのクラウド上に構築したステージング環境で行うこともできます。
近年では国内での自然災害が頻発しており、ディザスタリカバリ(DR)対策が重要視されています。マイグレーションツールのVCDAは、もともとDRソリューションとして開発されました。VCDAは、IPVとオンプレミス間でのDR対策としても活用可能です。環境条件によりますが、最短5分のRPOでデータを復元することができます。
その他にもオンプレミスとIPV、またはIPVの東西を活用したBCP対策にも有効です。ミッションクリティカルなシステムを保護する際にも便利にお使いいただけます。
IPVは1VMからご利用いただけます。必要に応じて柔軟にリソースを拡張することもできるため、IT投資のリスクを最小化しながら、クラウドリフト&シフトを実現します。データ転送料金は無料で、インターネット回線の10Mbpsベストエフォートプランも10MBまで無料。サーバーやネットワークの料金は月額上限付き課金制のため、分かりやすい予算設計が可能です。
IPVは、CO2排出量ゼロのICT基盤を実現し、お客さまのカーボンニュートラル達成を支援します。IPVは、NTTコミュニケーションズが運営するデータセンターの「Nexcenter」をベースに展開しており、データセンターにおける再生可能エネルギーの使用率が100%に到達した時点で、クラウドサービスも同時に再エネ化され、CO2排出量がゼロになるという仕組みです。
IPVを展開している「JP7リージョン」では、再生可能エネルギーを100%利用しています。再生可能エネルギーを100%活用したクラウド環境でご利用を開始いただけるため、既存のオンプレミス環境や他のクラウドサービスからIPVへ移行するだけで、カーボンニュートラルへの取り組みを推進できます。
IaaS Powered by VMwareの提供価値
大手製造グループ企業がIPVを採用した事例を紹介します。同グループでは、各社の業務システムをオンプレミスで運用しており、「運用・メンテナンスの稼働コストが負担になっていること」、「最新のITテクノロジーを追随できていないこと」に課題を感じていました。
既存のオンプレミス環境の一部分をクラウド移行するにあたって、1VMから利用を開始できる点や、マルチクラウド環境の構築が容易にできる点、回線サービスやコネクタといった製品を別途用意する必要が無い点、簡単にセキュアなネットワーク環境を構築できる点を高く評価していただき、IPVの採用に踏み切りました。
同グループではシステム構成を変更することなく、かつNTTコミュニケーションズのネットワークを利用することでセキュアなクラウド移行を実現。さらに、移行後は運用の一部を当社にお任せいただいたことで、お客さまはDX推進に向けた業務に集中することができました。
最後に、IPVの今後の展望について紹介します。最も大きなイベントとしては、「JP8リージョン」、いわゆる西日本サイトを2022年度中に開設することを予定しています。これにより、東西のデータセンターをまたいだDRサイトの構築が可能となります。
ネットワーク機能に関しては、リージョン内の他のサービス、仮想サーバー環境と接続するための機能の提供も予定しています。今後はSDPFが持つさまざまな機能を、より柔軟かつ容易に活用できる環境を整えられる見通しです。
さらに、仮想アプライアンスのサポートも順次拡充する予定です。状況に応じて必要な製品機能をIPVの環境に取り込んでご利用いただけるようになるでしょう。
NTTコミュニケーションズは、お客さまのデジタル化とサステナビリティの両立を支援するために、カーボンニュートラルなクラウドやデータセンター含め、さまざまなICTサービスを今後も提供していきます。「2025年の崖」と「カーボンニュートラル」への対応に悩まれているお客さまは、ぜひご相談ください。
※この記事は、2022年11月15日~16日にVMware主催で開催されたイベント「VMware Explore 2022 JAPAN」での講演を記事化したものです。
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