富士通が提供するVMware vSphere®ベースのクラウドサービス「FUJITSU Hybrid IT Service FJcloud-V」では、多彩な企業のニーズに対応するために、パブリッククラウドから完全専有型のプライベートリージョンまで4つのモデルをラインアップしています。仮想マシン1台から適用される99.99%のSLAや無停止でのクラウド移行サービスなど、企業が安心してクラウドを活用するためのソリューションを提供しています。
肥大化・複雑化したレガシーシステムの運用負荷を軽減し、デジタルトランスフォーメーション(DX)を推進するため、多くの企業がクラウド化を指向しています。しかし、現実問題としてこれまでオンプレミスでITシステムを構築・運用してきた企業が、一足飛びにクラウドネイティブのシステムに移行できるわけではありません。
こうした課題を抱える企業に対して、富士通は次の5つのステップからなる段階的なクラウド利用を推奨しています。
ステップ1は「オンプレミス環境の仮想化」です。ITインフラを仮想化することで、ハードウェアとシステムのライフサイクルを分離します。このステップについては、すでに実践している企業も多いのではないでしょうか。
ステップ2は「クラウドの体験と評価」です。まずは移行リスクの低いシステムの一部を既存の設計のままクラウドに移行し、検証・評価するとともにクラウドを扱える技術者を育成します。
ステップ3は「クラウドの利用拡大」です。ステップ2の運用経験を踏まえて、その他の多くのシステムを含めた本格的な移行方針を検討し、クラウドへのリフトを推進します。
ステップ4は「ビジネススピードに対応するクラウド」の構築です。システム全体を可視化し、APIを活用した運用の自動化や、IaaSだけではなくPaaSをフル活用したシステム設計や運用へ変更します。
最後のステップ5は「クラウド利用の最適化」です。単一のクラウドだけでなく、複数のクラウド環境やオンプレミスを適材適所で使い分けて、ビジネスメリットを最大化します。
無理のないクラウド移行のための5つのステップ
これにより企業は、基幹系を含むシステムを無理なくクラウドに移行することが可能となります。そして、このうちの特にステップ2~4を支えるのが、VMware vSphere ベースの国産クラウドサービスとして提供している「FUJITSU Hybrid IT Service FJcloud-V」(以下、FJcloud-V)です。その特長を次項から紹介します。
富士通はVMware本社との強力なパートナーシップにより、ユーザー企業に向けて世界最先端の仮想化技術を提供するとともに、自社内でも積極的な活用を進めてきました。その歴史は2006年から15年以上に及んでおり、ネットワーク仮想化技術であるVMware NSX® の仕様の共同検討、新たなDR(災害対策)サービスの共同開発、VMwareの負荷分散技術であるVMware DRS(Distributed Resource Scheduler)を補完する独自運用技術の開発などで成果を上げるほか、クラウド領域でも関係性を深め、2019年に「VMware Cloud Verified」の認定を取得しています。
こうしたVMwareの仮想化技術に対する長年の経験と深い知見を活かしながら、FJcloud-Vでは使いやすさが徹底的に配慮されています。サーバやディスクなどのリソース管理、パフォーマンス監視、ネットワーク構成の確認といったクラウドの運用管理で用いるコントロールパネルは、“マニュアルいらず”のシンプルなGUIで設計されています。
さらに特筆すべきが、VMware vSphere環境に関する卓越した運用ノウハウに裏付けられたFJcloud-Vの信頼性・安定性です。商用のクラウドサービスといえどもトラブルは皆無ではなく、その多くは運用のオペレーションミスに起因しています。FJcloud-Vではそうしたミスによる障害を防ぐために、運用管理の自動化を極限まで追求しています。
その一環として、例えばAIOps(AIが支援する高品質運用)を指向した富士通独自のデータ分析基盤をFJcloud-Vに実装し、故障の予兆検知と未然対処を行うことで物理サーバ故障によるフェイルオーバーの発生率を60%減少するなど、ユーザー影響を最小限に抑えています。また、膨大に蓄積された稼働データを機械学習で分析することで、通常と異なる振る舞いを自動で判定し、仮想マシンを最適な物理サーバ上へ動的に再配置することで障害を回避します。
これによりFJcloud-Vでは、単一ゾーンに仮想マシンを1台作成するだけで99.99%のSLA(サービスレベル保証)が適用されます。もちろんサーバやストレージ、ネットワークなど、すべての構成コンポーネントが二重化されているため、メンテナンス時もサービスが停止することなく、ユーザーの業務に影響を与えません。
FJcloud-Vは、前述した5つのステップにて既存システムの移行を進めていくにあたり、できるだけ改修の手間をかけたくない、またはセキュリティやガバナンスの観点からデータを社外に出せないなど、企業ごとのさまざまな要件に対応できるモデルが用意されています。
例えば「プライベートリソース」モデルでは、富士通データセンター内のパブリッククラウド環境に、自社専用として用意されたコンピュートリソース(物理サーバ)を専有利用することができます。さらに専有の度合いを高めた「プライベートリージョン」モデルでは、その名のとおり1つのリージョン全体を専有利用することが可能です。このモデルでは、顧客が保有もしくは契約しているデータセンターにFJcloud-Vのクラウド環境を持ち込んで運用することが可能になります。
IaaSからPaaSまで多彩な機能をオンデマンドで利用できるパブリッククラウドの持つ利便性と、プライベートクラウドの機密性を兼ね備えたこのプライベートリージョンは、まさにFJcloud-Vの最大の特長となっています。
一般的な共有型のパブリッククラウドサービスのほか、自社利用のDCにFJcloud-Vを構築できるユニークなサービス「プライベートリージョン」モデルも提供
またFJcloud-Vでは、クラウドへの移行作業もほとんど障壁にはなりません。すでにオンプレミスでVMware vSphereベースの仮想化基盤を運用しているのであれば、システムに大きな改修を必要とせずに移行が可能になります。L2ネットワークの延伸でオンプレミスとクラウドを接続できるため、IPアドレスやシステム構成を変更する必要がありません。
そして特筆すべきが、「Liveマイグレーション」のサービスです。システム停止時間を限りなくゼロに抑えてオンプレミスの仮想マシンをFJcloud-V上に移行できるというものです。複数の仮想マシンを同時に移行することができ、データ転送時のネットワーク経路も選択することができます。
豊富な経験を持つ富士通(または指定のマイグレーションパートナー)が検証から実際の移行作業までを担当するため、業務を止めることなく対象システムを確実にクラウドに移行することができます。あわせて富士通では大量データをネットワーク経由ではなく、物理的なディスク経由でFJcloud-Vに郵送できるサービスも提供しており、通常では1年近くかかる大規模なシステムのクラウド移行を数週間程度で完了することも可能です。
マイグレーション実施のイメージ。FJcloud-VのDCに専用の経由環境を設置しセキュアに移行
このようにFJcloud-Vを利用することで、企業は妥協することなく必要なシステムをクラウドに移行することができます。さらにその先では、ステップ4のビジネススピードに対応するクラウドや、ステップ5のクラウド利用の最適化に進むことも容易であり、DXへの取り組みは大きくスピードアップすることになります。
富士通株式会社