特集記事

2022-02-06

BCP/DR 対策を限られた予算で実現する方法

自然災害、設備障害、サイバー攻撃など予期せぬ災害が発生しても事業を継続させるための災害対策は企業にとってますます重要な課題となっています。被災時において事業への影響を最小限に抑えるため迅速にシステムを復旧させる事業継続計画が求められていますが、多くの企業は十分な対策計画を持っていないのが現状です。「ビジネス継続性の重要性」と「実際の対策」の間には大きなギャップが存在しているわけです。 このギャップの最も大きい原因はリカバリサイトの設備運用管理コストにあります。

  • ワーストケースに備えた大規模な初期設備投資
  • リカバリサイトの維持運用コスト

従来の DR ソリューションは高い車を買って年に一回だけ使うのとよく似ています。その車には様々な維持費用がかかり、また時間が経つにつれて価値が下がります。年に一回だけ走るなら間違いなくタクシーの利用をおすすめします。

DRaaS について

最近「X-as-a-Service」モデルは世の中に普及しています。「X-as-a-Service」の特徴としては、使用した分のみを支払う課金モデルです。DRソリューションにおいても、災害が発生したときにのみリカバリサイトを展開できれば、従来のソリューションと比べて大幅なコスト削減の実現が可能になります。その仕組みを提供するDR as a Service(DRaaS)が注目されています。

DRaaS がもたらす最大のメリット

DRaaS はリカバリサイトとしてクラウドリソースを活用するのが一般的です。オンデマンド利用と伸縮性はクラウドリソースの特長です。この特長を最大限に活用することで、DRフェイルオーバー実行と同時にリカバリサイトの展開が可能になります。大規模な初期設備投資が不要になるほか、リカバリサイトのインフラ運用管理コストを削減できます。これがお客様にとって最大のメリットになるでしょう。

クラウドのメリットを活用したDRaaS

オンプレミスにある VMware vSphere®️ ベースワークロードを保護するにはどんなDRaaS の選択肢があるのか?

1.VMware Cloud Disaster Recovery™(VCDR)

VCDRはリカバリサイトとしてVMware Cloud™ on AWSを利用する、オンデマンドで低コストな災害対策を実現できるソリューションです。

オンデマンド展開の仕組み

オンプレミスにある仮想マシンのスナップショットデータは、平常時にはクラウド上の安価なクラウドストレージ「Scale-out Cloud File System」に送られ、保存されます。有事の際には、VMware Cloud on AWS のSDDC が自動的に展開され、クラウドストレージが SDDC データストアとしてマウントされ、仮想マシンを起動します。その後、仮想マシンのイメージは、クラウドストレージから SDDC の vSANデータストアに Storage vMotion されます。このマウントによって、スナップショットデータを長時間かけてリストアする必要がなく、短い RTO を実現しながらリカバリサイトのコストを抑えることができます。

VCDR によるオンデマンド展開を提供する仕組み

VCDR はランサムウエア対策にも効果的なソリューションです。ランサムウエアの攻撃は潜伏期間(数週間~数ヶ月程度)を経て攻撃を始めるケースが多いです。一般的なレプリケーション製品においては、古いリカバリデータが破棄されるため、直近のバックアップデータからの復元では対処できないこともあります。VCDR は仮想マシンのバックアップデータをクラウドストレージに保持しているため、任意のリカバリポイントからシステムを復旧することができます。リカバリポイントの保存期間を長く設定しておけば、ランサムウェアに攻撃されてしまったとしても攻撃前のデータに復旧できるため、ランサムウェア対策にもご活用頂けます。

2.VMware Site Recovery™(VSR)

VMware の災害対策ソリューションとして10年以上の歴史を持つ VMware Site Recovery Manager をベースとした DRaaSです。VMware Cloud on AWS のアドオンサービスとして提供されます。

RPO + RTO 短縮しながらコストを抑える

VCDRと同じようにリカバリ先はVMware Cloud on AWS SDDCになりますが、 VCDRとの違いとしては、オンプレミスにある仮想マシンのスナップショットデータは SDDCのVMware vSAN™ データストアに直接にコピーされ、保存されます。有事の際には、保存データから直接に仮想マシンを起動し、RTO の時間を短縮することが可能です。

サイト間の仮想マシンデータ同期方式としてハイパーバイザベース vSphere Replication の技術を採用するため、RPO 最短5分として短いリカバリポイントのデータを復旧できます。

VMware Cloud on AWS のElastic DRS 機能はSDDC内のリソース空き状況を監視し、いざという時にホストをオンデマンドに追加してくれます。平常時には、SDDC 最低限のホスト数を確保すればコストを抑えることが可能になります。

ダウンタイムが短いサーバの保護に最適な DRaaS

3.VMware Cloud Director Availability™(VCDA)を採用したDRaaS

VCDA は、マルチテナントの VMware Cloud Director(VCD)ベースのクラウド環境へDR 機能を提供するソリューションです。

VCD

クラウドには、VMware Cloud on AWS のようなvCenter へ直接アクセス可能な SDDC を占有するタイプ以外にも、VCD を活用したマルチテナント型のサービスも提供されています。VCD ベースのクラウドサービスの特徴としてはvCenter へのアクセスはできませんが、よりクラウドライクなシンプルな ユーザインタフェース が提供され、数 VM 規模からのスモールスタートが可能です。

VCD + VCDA による低コストDRソリューション

リカバリサイトは、共有リソースであるため、平常時に占有SDDC を維持する必要なく、最小限のコンピュートリソースとスナップショットデータのストレージ領域を確保すればリカバリサイトのクラウドリソースを削減できます。

VCD と VCDA によるクラウド共有リソースを活用した低コスト DR

まとめ

これまで災害対策は「大規模な予算が必要」という認識が一般的でした。一方、DRaaS を活用すれば、従来よりもコストを抑えながら、エンタープライズ企業の要件も満たすことができます。

DRaaSの各サービスの詳細の仕様についてはクラウドプロバイダー各社様へご相談ください。

DRaaS 各サービスの整理

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ヴイエムウェア株式会社

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