VMware が目指すマルチクラウドは、お客様のあらゆるアプリケーションにとって、最適かつ画期的な基盤を実現します。生活基盤を支える領域だけではなく、あらゆる場面でデジタルテクノロジーが利用されており、それを支える新しいテクノロジーの活用も急速に進んでいます。ここでは、11月25日(木)~26日(金)に開催されたVMworld 2021 Japan で発表した新たなテクノロジーとさまざまなアップデート※について、コンパクトにお届けします。
※発表時点での情報であり、今後製品の開発などについては、変更となる場合があります。
まずVMware Cloudに関する最近の主なアップデートを以下に簡単にご紹介します。
2020年に発表した「VMware Cloud Universal」は、VMwareのマルチクラウドインフラや管理サービスの購入・支払いをシンプルにするサブスクリプションサービスです。そのラインアップにVMware Tanzu Standardが利用できるようになりました。今回VMware Tanzuが加わったことで、Kubernetesも含むマルチクラウド環境の構築にも有効なライセンスモデルとなりました。
VMware vSphereではGPUをサポートし、AIや機械学習といった次世代のワークロードに対応するエンタープライズプラットフォームとなっています。さらにDPU(データプロセッシングユニット)、コアシステムメモリといったハードウェアが関連するイノベーションにも取り組んでいます。
これはプレビュー版として発表したもので、VMware Cloud上のオンデマンドのインフラ(IaaS)とコンテナ(CaaS)の両方に統一インターフェースを提供するプロジェクトです。注目していただきたいのは、このインターフェースはオープンかつ宣言的であり、提供されるインターフェースは業界標準のKubernetes RESTful APIを利用して開発されていくということです。
宣言的とは、シンプルな命令ですぐにVMware Cloud上のリソースを使えるようになるという意味です。vSphere環境でもコンテナでも、アプリケーションがよりシームレスに運用できるマルチクラウド環境が実現します。
「Project Arctic」はvSphereにクラウドへの接続機能を統合することで、ハイブリッドクラウドをデフォルトの運用モデルとするための製品です。お客様はBring on Your HardwareでvSphereの環境からVMware Cloudをそのまま利用できるようになります。現在無料で使用しているvCenterから「VMware Cross-Cloud Service」にアクセスして、その機能をオンデマンドで利用可能です。
Project Arcticを使うとオンデマンドで必要な分だけ課金して利用できるため、オンプレミス環境でキャパシティを使い切ってしまうような問題から解放されます。また、月次アップデートやパッチ適用を自動で行い、Kubernetesも最新の状態で使えるようになります。ランサムウェアの対策もVMware vCenterからクリック1つで使用可能です。
多様なリソースが使えるようになると、今度はそれをいかに適切に使うかが新たな課題となります。「VMware Cloud Operating Model」は、クラウドを運用していく上で重要になる、「人、プロセス、テクノロジー」を結びつけると同時に、クラウドをどう作るか、アプリケーションをどう作るか、そしてそれをどう運用してコストを管理していくのかといった各戦略を結びつけて、プラットフォームを最適化してセキュアに保つオペレーティングモデルです。これを実現するのが「VMware vRealize Cloud Management」製品群と「CloudHealth by VMware」です。
まず、VMware Cloud側を支える制御プラットフォームに大きな変化がありました。VMware Cloud on AWSだけではなく、Azure VMware SolutionやGoogle Cloud VMware Engineなどに関するサポートも増やしており、その上で動く200以上のアプリケーションをサポートしています。また、ネットワーク運用の強化も進めており、どこで何が起こっているのかをより把握しやすくなります。
一方のパブリッククラウド側では、CloudHealthと組み合わせて使います。
CloudHealthは、マルチクラウド環境のコストや可視性を担保するソリューションで、これまでもAWSやAzure、Google Cloud Platform(GCP)の情報を集約して表示しアドバイスをお伝えすることができていましたが、今回GCPのサポートが大幅に強化されました。また既存のvRealizeソリューションとの統合も進めており、より使いやすくマルチクラウド環境の可視性を高め、コスト効率の向上に寄与できるようになりました。
CloudHealth Secure Stateは、セキュリティの問題点をリアルタイムでモニタリングし、影響範囲を特定しつつ問題点を通知するサービスです。今回、マルチクラウドベースのコンテキスト検索が強化され、セキュリティイシューについてより厳密に検索して表示できるようになったほか、Kubernetesベースのモニタリング機能が強化されています。
そのほか、VMwareのクラウド管理ソリューションに関する最新情報として以下の2点も言及しておきましょう。
「Project Ensemble」ではスイート全体の機能の活用と統合によるvRealize製品の統合および自動デプロイを行います。そして、クラウドを横断するような構成管理データベースをもとに、今どこで何が起こっているのか、必要な情報は何か、そして何がこれから起こるのかといった問題点の発見と解析を容易にし、次のプロセスに進むために支援します。ビューは、ユーザーの振る舞いに合わせた機械学習によるインターフェースのカスタマイズも行うため、使えば使うほどユーザーの情報を反映して使いやすくなっていきます。
「VMware vRealize Cloud Universal」は、自動化、運用、ログ分析、およびネットワークの可視化を行うクラウド管理スイートです。1つのサブスクリプション契約で、オンプレミスで使ったりSaaSで利用したりと、お客様の要件や状況に合わせて柔軟に切り替えられるのが特徴です。このたび、「vRealize Network Insight Cloud」を搭載したEnterprise Plus Editionが発表になりました。今後さらに、CloudHealthも搭載した新しいエディションも発売される予定です。
VMware Cloud on AWSは、vSphereやvSAN、NSX、vRealizeといったソフトウェアスタックをAWS上で利用できるサービスで、オンプレミスにあるアプリケーションの運用を変えずにクラウド上で動かすことができるので、既存資産の活用にも有効なソリューションです。AWSが提供する各種サービスにも直接高速アクセスできます。こうした従来の特徴に加えて、このたび4点の大きな発表がありました。
Kubernetesのランタイムである「VMware Tanzu Kubernetes Grid」と、マネジメントプレーンの「VMware Tanzu Mission Control Essentials」が使えるようになりました。既にVMware Cloud on AWSなどをお使いのお客様は、追加コストを必要とせずアズアサービスでKubernetes環境を使用することが可能です。
Datriumがベースとなっているテクノロジーの機能拡張により、耐障害性が向上しました。より迅速な復元や統合的なデータ保護を実現します。
分散IPS/IDS、高度なファイアウォール機能を提供し、セキュリティの向上とワークロードの保護を支援できるようになりました。
アプリケーションの構成を変えることなく、可用性の高い構成をそのままVMware Cloud on AWSで使うことができます。
なお、VMware Cloud on AWSは2021年11月末に大阪リージョンでの提供が開始され、西日本地区のお客様はこれまでより低遅延でサービスを利用できます。また、広域災害にも対応するディザスタリカバリを日本国内のリージョンのみで実現可能となりました。
このほかにも、VMwareではデル・テクノロジーズとのコラボレーションによる「APEX Cloud Services with VMware Cloud」にて、アズアサービスモデルでオンプレミス環境にVMware Cloudのインフラを構築できるサービスを提供しています。また企業のオンプレミスにAWS環境を持ち込むことができる「AWS Outposts」に、VMware Cloud環境を乗せた「VMware Cloud on AWS Outposts」の一般提供も開始することになりました。
いずれのサービスも、日本での提供スケジュールは未定ですが、クラウド、オンプレミス問わないハイブリッドクラウド戦略においてVMwareは今後もサービスを拡充していきます。